沖縄備忘録1

少しは頭も冷めて来たので、冷静にレースを振り返ることにしよう。
はっきりしているのは、完走を勝ち取るだけのスピードもスタミナもなかったと云う事で、もっと強くならなければいけない。

最初の40kmは落車に巻き込まれる危険があるので、前方からスタートする必要性がある。ただ、"レース"とは何の関係もないので、あまり欲張っても行けない。というわけで、少し早めに集合場所に向かい、ウォークマンを聴きながら時間を潰す事にする。メタリカとかだと気持ちが高揚しすぎるので、我がブルースブラザースの名盤ブリーフケース フル オブ ブルースを聴くことにする。最高だ。
レーススタートは7時50分。車でコースを回り危険ポイントはだいたい頭に入っているので、とにかく無理せず、落車に巻き込まれないように気を配りながら走る。僕の周りで起きた落車は二回。一度はクリートを外して何とか難を逃れる。40kmほど走り大きな通りに出ると例年ペースが落ち着くのだが、今年はちょっと落ち着き過ぎ、これでは関門が厳しくなっていくなぁなんて思いながら走る。今にして思うに、ここでガッチリとエネルギー補給しておくことが、重要なポイントなんだろうな。

そのままペースは上がらず、昨年より3〜4分遅れて普久川へ。(あとで聞いた話によると去年よりスタートが5分遅くなっていたとのことで、普久川突入時点で去年より関門は10分厳しくなっていたことになる)
平地でいいポジションを維持していたイトー君が50mほど前に見えたので、彼を目標に登り始める。KOMまで⒎8キロあるので、とにかく前半は抑えめにして、絶対に呼吸が乱れる事がないように気をつけて登る。中盤以降は前の集団からこぼれてくる人たちを面白いように拾い、7キロ程登ったところで10人強の集団が目に入る。ここでは無理をせず下りで追いつこうと思っていたら、都合のいい事に、フォルツァの選手がダンシングで僕の前に出て来た。この選手はJCRCのS級で、平地が早い事は筑波でワンクルー走って知っていたので、彼のお尻についていけば問題なく前の集団に追いつくだろう。実際、彼の下りのテクニックは抜群で、彼のラインに乗って走ると何の不安もなく、快適に走る事ができる。普段からこんな選手と一緒に練習できたらいいなぁなんて思いながら下りパートは無難にまとめる。

給水所でボトルを一本貰い、裏のアップタウンに入って間もなく、先方集団を捕獲、どうやら第二集団の模様。ここにいれば完走は硬いですな、なんて会話が飛び交い、完全なツーリング状態。後続グループが次々とドッキングして来て、集団がどんどん膨らんで行く。
奥の登りで、多分北海道上級の優勝者が前に出て集団を少し強めに引き始めたが、シッティンクで高目のケイデンスを維持して淡々とついて行く。辛いとは思わなかったが、登りが予想より長く感じられたので、実はこの辺で疲れが溜まり始めたのかも知れない。ただ、この時点では、周りの選手の走りやギアをチェックする余裕があり、この集団から遅れる事はあり得ないなんて事を考えていた。とんでもない勘違いである。

とにかく、長丁場だから、絶対に無理しないように走っていたつもりなのだが、実際はどうだったんだろう。アドレナリン効果に乗せられて、途中で、無茶乗りしていたのだろうか?心拍計でちゃんとデータとっておけば良かった。

変調を感じたのは、辺戸岬を越え、美しい海岸線を追い風に乗って走る平坦区間で、急に空腹感や喉の渇きが襲って来て、脚の裏が攣り始めた。大したスピードで走っているわけじゃないのに、呼吸が苦しい。すぐに給水&補給すれば良かったのかもしれないが、着いて行くのが精一杯で、ボトルに手をやる余裕がない。

そうして、二度目の普久川へ。全く足に力が入らず、あっという間に大集団からおいていかれる。エネルギー補給してもパワーは戻らなかったのでこれは、終わったな、と覚悟する。