レジェンド・オブ・ゾロ

 風邪なのか、もしかすると花粉症?なのかも知れないが、ダルいし鼻水が出るしと言うわけで練習はやめておくことにする。きっと体を休めてゾロを観ておきなさい、ということだと勝手に解釈し有楽町のマルピカに。サラリーマンでも観やすい金曜の6:50スタートだというのに劇場内は空席が目立つというよりガラガラだ。
 でも僕には確信があった。この映画は絶対面白いはずだ。
 冒頭からゾロがド派手な立ち回りを演じ一気に客を掴む。しかし、家庭を顧みないゾロに妻エレナは三行半を下し離婚申し立て書を送りつける。敢えて光と影をみせておきながら重ね合わせ最後は完璧な勧善懲悪ハッピーエンドに持っていくストーリーは安心感があって心地よい。監督もこの映画に求めるであろう観客の心理をよく分かっていて、次の動きや展開に関する明快なヒントを常に観客に与え、その予想を裏切らない形で話を進めていく。
 そんなことよりも、僕はゾロの妻・エレナを演じるキャサリン・ゼタ・ジョーンズの持つ、情熱的で挑発的でセクシーな雰囲気が堪らなく好きなのである。彼女が出てくるたびに自然と体が反応してしまうのである。ラスト近くでのエレナのアクションシーンの素晴らしさ、その動きの美しさを見るだけでも、お金を払う価値があると思う。もちろんバンデラスも格好いいし、二人の子ども、ゾロの子に相応しいワンパクで勇気あふれる男の子も愛らしい。キャストを生理的に受け入れられないと、それだけで映画に感情移入が出来なくなってしまうのだが、あぁアナキン・スカイウォーカーよ・・・ゾロの場合は完璧だ。好奇心で酒を飲みタバコを吸ってしまうなどお茶目な処も見せてくれる愛馬トルネードも存在感を見せてくれる。
 それにしても、この映画から感じる切れの良いリズム感とバネの強さは一体何なんだろう。メリハリの利いた動きと音楽・効果音を見事に重ね合わせている。(その見事手法から名作アニメ”トムとジェリー”を思い起こしたのは僕だけであろうか)
 どの部分から切り取ってみても完璧に”僕好み”の映画に仕上がっているのだ。それでも封切りから1ヶ月しか持たないなんて、一体この業界はどうなっているのだろう?もっと面白い映画がいくらでもあるということなのだろうか。