ナルニア

 ホテルに戻るとさっと1500m泳いでナルニア物語を観に行く。
 最終回なので1300円。ちょっと得した気分でビールとポップコーンを買い込み席に着く。21世紀の映像テクノロジーが絶対に不可能といわれていた極上ファンタシーの映画化を可能にした、と謳われるだけのことはある。CGを駆使した作品なのに色調が明るいことだけでも感心出来る。
 目の前の出来事を素直に認め前に進んでいくピュアで好奇心の強い末っ子ルーシーに導かれてナルニア国への扉が開かれる。そこで最初に出会うのが半神半獣のタムナスさん。ルーシーを眠らせ白い魔女に引き渡そうとするのだが結局人間世界に逃がしてしまう、少し気が弱くて涙もろいけど優しくてとてもいい奴。その柔らかい目を見ただけでこれ以上の適役は無いだろうと思う配役の妙。配役が素晴らしいといえば白い魔女もこの人以外には考えられないという位のはまり役だ。まず、その本当に透けてるんじゃないかって言うくらいの白い肌。何の愛情も感じさせない氷のように冷たい視線。しかし、その凍えるような冷たさが、その美しさをより際立たせる。そして、神々しさを纏ったライオン・アスラン。その表情と重厚な動きは本物?と思わせるほど。薄っぺらな合成ではない、凄い技術だ。
 真正面から愛と信頼、家族愛といったテーマを謳いあげるのだが、決してクサいとは思わせない。純真で無垢な世界がここにはある。140分を超える長編だけど飽きることなく、各人の豊かな表情を見ているだけでも十分なのに、ハラハラどきどきしながらタップリとこの美しいファンタシーを堪能させてもらった。ビデオで観るなんて勿体無い、映画館の巨大スクリーンで見なければ絶対に損をする映画である。