キャラバンサライ

 ある音楽狂と好きなギタリストの話をしていたら突然サンタナの名前が挙がったので、僕は思わず鼻であしらってしまった。
 お前、今笑っただろう!
 お前はキャラバンサライを聞いたことがあるのか!
 ある音楽狂はほとんどムキになって突っかかってきたのだが、確かにサンタナなんてマトモに聞いたことがない。哀愁の甘ったるいメロディを思い浮かべて拒絶しているだけだ。僕が聴こうとしないだけで、本当は凄いギタリストなのかもしれない。
 自分で言うのもなんだけど僕は素直な性格をしているので音楽狂に従うことにした。
 ではキャプテン・スパロー聞いてみましょう
 カリブの海賊じゃない、キャラバンサライ
僕にとってはサンタナよりもジョニーデップの新作のほうが重大事なのだが、その週末に何件かのレコード屋を回り問題のアルバムを手に入れた。しかし、ジャケットを眺めた瞬間に月の砂漠のメロディーが浮かんできてどうも聴く気にならない。同時期に買ったツェッペリンのデビューアルバムや強烈のライブDVDに心が惹かれ、さらに懐かしいスターリントム・ウェイツのアルバムを買ってしまったので、月の砂漠は聴かれる事なく棚の中に放り込まれてしまった。
 それでも音楽狂に毎日キャラバンはどうだっとと聞かれるのが面倒くさくなってきたので、ついにCDをターンテーブルに乗せることにした。
 正直、虫の鳴き声から始まる冒頭の過剰なアレンジには距離を感じたが、聞き進むうちに良質のフュージョンを聴いているような気がしてきた。オレゴンに体臭を加えたような感じといったらどうだろうか、ときどきこれはウェーザーレポート?ていうキーボードが入ったりもするが、全体としては気取りのないギターフレーズが和ませてくれる、一言で言えばロックの側からの高度なフージョンアプローチであろう。ジャズを強姦しようとしているのではない、それは優しく柔らかい融合である。
 実によく計算された音楽的探究心にあふれた作品なのだが、なぜか、変な緊張感を強いてこないので、ゆったりと音楽が描く世界に浸ることが出来る。
 なんどか聴くうちに僕はすっかりこのアルバムが気に入ってしまった。なんということだ、最高だ!なんてありふれた言葉では、聴きもせずにバカにしていた僕の罪は償うことが出ない。
 
 さて、練習日誌
 30kmバイク+3kmラン、下り目でのスプリットは4分2秒と相変わらず切れがない。何度も繰り返すが持久力は戻っても瞬発力を呼び覚ますのは難しい。このままスピードは戻らずズルズルと記録を落としていくのであろうか。
 昼間は家族で養老渓谷に行き少しだけ鮎釣りを楽しんだ後子ども達と水遊びをしていたので結構ハードな一日であった。ボウズもこたえた。
 思い余ってビールを飲んでしまった。罪悪感のかけらから”ダイエット・ビール”を飲むところが、いかにも小市民的だが、いずれにせよ、また明日からやり直しだ。