ザ・ローズ

 歳を取ってくると、新しい感動をそのまま素直に受け止めることが出来なくなってしまい、そんな自分を情けないと思うことが多々ある。
 初めてWelcome to the Black Paladeを聴いたときも、演出過剰だとか、ギターがロジャー・テイラーそのままだ、などといって素直にその展開力を認めようとしなかった。それが如何にバカバカしいことかいうのは、彼ら、My chemical romanceの2ndアルバムの出だしの一発、The Endを聴いただけで直ぐに分かる。重量感を持って突っ走っていくような、彼らの音楽の持つ破壊力と爽快感は、他でめったに味わえるものではない。こいつは2000年代を代表する名盤の1つとして語り継がれていくことになるのだろう。
 さっき、歳をとると・・・といったがマクセルのノイズキャンセリング・ヘッドフォーンには驚いた。ノイズが消えて自分だけ別世界から、年末は日本橋の雑踏を眺めているような気になってきたのだ。あるいは、村上春樹アフターダークに描かれている世界を思い浮かべて貰ってもいいかもしれない。僕はソニーのチンケな(とはいっても8千円くらいしてた)ノイズキャンセリングヘッドフォーンも持っているのだが全く比較にならない。もう僕はマクセル品なしには生きていけない・・・・
 歳をとると・・・ってことでいうと、若いときに同時代で感銘を受けた作品は無条件で評価してしまうという脇の甘さも素直に認めなければいけない。
 実は昨日から、あまりに情熱的であまりに切ない、自己破滅的な人生を送ったジャニスジョップリンをモチーフとした名画、ザ・ローズを流しっぱなしにしている。
 ベットミドラーはどんなに贔屓目に見ても綺麗とは絶対にいえないし、声の質もロックンロール向きではないのだが、僕などはその迫真に迫った演技力と圧倒的な歌唱力でイカされてしまい、架空のスター"The Rose"の世界に完璧に引きずり込まれてしまうのである。バケモンみたいスケがなんて思いながらも、彼女の仕草や表情を見ているとメチャメチャ愛しく感じられる瞬間がある。思わず抱きしめてあげたいって感じるときがある。
 ここでのWhen man loves womanの圧倒的熱唱はさっきあげたマイケミなどとは全く異なる次元にある名演だと思うし、ラストシーンでの
 Where are you gdoing・・・
 Where's everybody going・・・
というつぶやきの切なさ。ローズがぶっ倒れ会場が騒然とする中でスタッフのGot a doctor!-Come on!Hurry up,for fuck's sake!などという声を拾いながら始まるThe Rose・・・。泣けてしまうのだ。何回観ても泣けてしまうのだ。
 初めてこの映画を観てから25年くらい経っているのに、一体どうしてこんなことになってしまうのだろう。
 話はころころ変わるが、今日も何とか8kmはしることが出来たので、滑り込みで100km達成。これが今年の走り収めとなるのだが、何とか勢いに乗ってマリーンマラソンになだれ込みたいものである。(今日参加証も届いたことだし)
 酔っ払っているせいか話が飛びまくりましたが今年はこれまで。それでは愛するあなた! Wish A Happy New Year!