フェィヴァリット・ワースト・ナイトメアー

 やっと家に戻ってきた。今回の出張はやたら移動が多かったので音楽を聴きまくったのだが、まずは前言撤回しなければいけない。
 アークティック・モンキーズの2ndはやっぱり恰好いい。
 幾つか僕の好みに合わない曲があったことと、ライクーダーに泣けてしまったことで、猿の2ndを放り投げてしまったのだが、改めて聴いてみるとあの強烈なグルーブ感が分厚さを増して迫ってくる。デビュー盤の衝撃で既に免疫が出来ているので僕が受けた衝撃がさほどでもなかったが、もし、いきなりこのアルバムを聴いていたのならどうなっていただろう。一発でイってしまったのではないか?
 
 さて出張中にレイモンド・チャンドラーの長いお別れを読んだ。もちろんきっかけは村上春樹の翻訳本のヒットだが、僕はいささかひねくれているので、あえてハヤカワ文庫を手に取ったのである。いや、半熟にもなっていない、彼のハードボイルドワンダーランドが大嫌いなので春樹本を買う気にならなかったのだ。
 この作品は20年位前に読んで一時期それなりの影響を受けたような記憶があるのだが、残っているのがボンヤリとした雰囲気だけで、情けない話、ストーリーをすっかり忘れていた。でも、改めて読んでみるとやはり面白い。暫くは固ゆでものにドップリとツカりそうな気がする。
 そして、村上春樹
 恐らく僕と大作家の間では”ハードボイルド”の定義が随分違うと思うし、基本的に村上春樹の世界はそんなに好きではないのだが、怖いもの観たさ?で彼が描くフィリップ・マーロウの世界ものぞいてみたい気がする。

 深夜便で戻ってきたので頭がボンヤリとしているし、体も鈍りこわばっているような感じ。本当は自転車にでも乗って血流をよくしてやらなきゃいけないんだろうけど、体を動かす気力がどうにも湧いてこない。
 ただ、ボンヤリと音楽を聴き続けている。どうしようもない、軟弱ものだ。