ジョンメイヤー

 好きな日本酒を飲みながらジョンメイヤーのwhere the light is を観るのが最近の楽しみ。
 彼の音楽から感じるのは育った音楽環境の良さで、ノラジョーンズと似た空気を感じるのは僕だけではあるまい。その幅広い音楽的素養と引き出しの広さ深さ、そして、その引き出しの数!
 耳に心地よく心に残るメロディと甘くスモーキーなヴォーカルが彼の魅力の一つで、その感受性に任せて紡ぎあげた美しい曲が湧き出すように繋がる奇跡のデビューアルバムRoom for Squaresを聞いていると、もし僕が女性なら溶けてしまうんじゃないか、って思うくらい心地よい。変に凝ったアレンジなんか要らない、アコーステックギターと彼の声があれば充分に曲の美しさが伝わってくるのである。そういえばこのアルバム名ってハンクモブレーのNo Roon for Squaresからきているのだろうか
 究極の名曲Daughtersで泣けるHeavier Thingsも素敵なアルバムで、どちらが好きかは個人の嗜好の問題で、思い入れ深さや、どちらにより好きな曲が入っているかで決まるのだと思う。
 彼が唯の甘口アーティストではなく、実は超ド級のブルースギタリストであることを世に示したのがJMT名義のアルバムで、彼の音楽の原点がスティーブ・レイ・ボーンにあることを再認識させられる。ただ、ジョンメイヤーが演じるブルースは洗練されていて、泥臭さを微塵も感じさせない。この辺のセンスがノラジョーンズと似ていると思うのだ。ノラもLittle Williesでウィリーネルソン・フリークであることもカミングアウトしながら、実に洗練された都会的なアルバムにまとめあげていた。
 音楽的バランス感覚が絶妙に取れた知的なアーティストだというのが僕の印象で21世紀最初のdecadeを代表するスターの一人だと思っているのだが、その感じ方は人によって違うので何ともいえない。
 僕はNEONを”ニオン”と歌い嫁さんはまた”ネオン”を聞いているのと顔をしかめる。音楽っていうのはそんなもので、だから厭きないのだと、僕は思う。