壬生義士伝

 暴飲暴食が祟り1月3日にはついに寝込んでしまった。
 たまにはゆっくり休んでノンビリ本でも読めってことなのだろうな、と前向きに考えることにして、情けなく布団に包まりながら、TATSUYAさんがブログで絶賛していた小説を読むことにした。
 筆は走るが叙情に走りすぎて付いていけなくなる、という悪い印象があって浅田次郎は食わず嫌いになっていたのであるが、斬新な切り口での新撰組、じつに面白い。
 筆者の仕掛けに見事にはまって不覚にも何度も何度も泣けてしまい、こんな姿は娘には見せられないと涙を拭いていたのだが、決して思いが溢れてきたことを恥じるものではない。
 生きることの意味を問い続けているのだが、幕末を舞台にしながら”家族愛”を鮮明に謳い上げるなんて、素晴らしい筆力だと思う。義の世界に身をおきながら、家族を守れなくて何の義よ!と誠の心を貫き続ける吉村に僕はただ惹かれるばかりであった。
 家族皆をを力強く抱きしめてあげたくなるような、そんな小説であった。