ワールド・オブ・ライズ

 娘にリドリー・スコットの映画を見てみたいと言われ驚いた。よく聞いてみると彼女が今夢中になっているゲームの作者が大変なリドリースコット信者で、ゲームの主人公にもリドリーという名が付けられているとのこと。
 ここ数年はR・クロウとのコンビが冴えていて、前作アメリカンギャングスターも面白い名画だった。R・クロウとD・ワシントンが競演するという贅沢な映画で悪いわけがないのだが、興味深かったのは、現代屈指の名優で我儘で自己顕示欲が強烈に強いといわれていたR・クロウが脇に回りD・ワシントンを完璧に光らせていたことである。
 今回はデカプリオとの競演ということで、どんな映画になるのか楽しみだったのだが、ストーリーの展開を読みきれず消化不良。デカプリオは確かにいい演技をしていて、後半の拷問シーンなどは最高だったのだが、でもヤッパリ何かが足りないような気がする。この手の映画では男臭さが欲しいのだが、デカさまからは体臭が感じられない。
 顔立ちが整いすぎているからなのか、声が甘いからなのか、にじみ出てくる品のよさのためか、それとも澄んだ瞳が悪いのか・・・。これらは全て女性から見たら堪らない魅力なのかもしれないが、僕のようなちょっと斜に構えたおじさんにはちょっと・・・、もちろん僕のような客を相手にする必要性などないのだが。ただ、デカさまも貪欲だと思うくらい、積極的に芸域を広げようとしているし、あと10年くらい経つと僕などには何の文句を言わせない最良の俳優になっているのであろう。