ありがとう!清志郎

 僕が同時代で体感してきたなかで最高のシンガーが清志郎だ。
 体制にこびない精神や、人を食ったような、つかみどころの無い自由な振る舞いも好きだった。彼のシャイな笑顔は最高だよね。
 彼の詩は具体的なイメージを持って心に響いてくる。
 トランジスタラジオは、高校三年の体育祭で女の子に振られた思い出と重なり合って聴こえてくる、全ての邦楽の中で僕が一番好きな曲だ。
 僕の好きな先生は娘たちも大好きで、ドライブ中にこの曲を流すと家族で大合唱になる。子ども達にもこんな素敵な先生にめぐり合ってもらいたいと思いながら僕は歌い、こんな先生から学びたいと思いながら子どもたちは歌うのだろう。
 今のこの気持ち、やっぱり上手くいえないけど・・・。
 落ち込んだりしたらかえって彼に悪いような気がする。天からあの笑顔で僕らを見渡し、こう叫んでいるような気がする。
 どうしたんだ Hey Baby
 バッテリーはビンビンだぜ
 いつものようにキメて、ブッ飛ばそうぜ!

そういえば、2年ほど前にはこんなことを書いていた。
 =QTO=
 どこまでも行けるし、信じてもらえない位のスピードで走ることだって出来る。でも誰も助けてくれないし、何に頼ることも出来ない。ただ、自分の心臓と足だけで進んでいくしかないのだ。だから、自転車が好きな奴っていうのは、冒険が好きだったり、努力や苦労を惜しまなかったり、そう、自転車が好きな連中には、いい奴が多いんじゃないかなって勝手に思っている。無防備だけど、自転車が好きだってアーティストを無条件で信用してしまったりする。
 折角の機会なんだから、何もかも忘れて、陽のあたる場所で寝転んでくれよ。
 タバコも忘れなきゃだめだぜ。
 折角の機会なんだから、口がでかくなる位、新鮮な空気吸ってくれよ。
 折角なんだから、目が小さくなっちまうくらい、ゆっくり静かに休んでくれよ。
 こんな気持ちうまくいえたことがない、今もうまくいえないけど・・・

ナゼか急に清志郎の声が聞きたくなって、何年か振りで RCサクセションを聴いていたら、僕の青春時代、今の僕、嫌悪感、慈愛、怖れ、喜び、共感と共鳴・・・いろんな思いや想い出が湧き出てきて困っている。
 自転車乗りなんだから、きっとランスみたいに、もっと強くなって、もっと格好良くなって戻ってきてくれるだろうって、ちょっと感傷的になりながら信じている。
 =UNQTO=

 もうすぐ夜が明けるけど、ヘッドフォンを使ってRCの曲をガンガン流している。
 素敵な音楽を残してくれたのだから、がっかりしたり、泣いたりしちゃダメだって分かっちゃいるけど、こんな夜を、こんな夜明けを迎えるなんて、やっぱり、悲しいよ。