ロード・オブ・ザ・リング

 10代にこの映画を観ていたら、僕の人生は全く違ったものになっていたであろう。
 NZの広大で奥行きのある風景にCGが溶け込んで、美しくも幻想的な世界が浮かび上がっている。そこで紡ぎだされる壮大で何処までも純粋な物語。最初から3部作を前提に作られているので、作品を重ねるごとに緊張感を増していき、分かりきっているのに泣けてしまう、あまりに美しく悠久な幸福を感じさせるエンディングを迎える。
 自分に架された運命、Destinyを真正面から受け止め、真っ直ぐに進んでいく全ての登場人物に惹かれ、愚直なまでにつき従うsumにはマジで泣かされる。
 思いっきり腰が砕けたパイレーツよ、この映画を見直してもう一回やり直せ!なんてことも思ったり、10代のときにゴダールの作品群や仁侠映画の代わりにこの映画に接していたら、こんな屈折した男にならずに、真正面から社会の革新にむかっていくような人間になっていたかもしれない、なんて思ったりして・・・。
 久し振りに3部作を見直したのだが、欠点は長尺に過ぎることだけか・・・素晴らしい映画である。