手賀トラ09

 記憶を抹消したくなるような散々な結果だった。
 スイムでスタートして直ぐに呼吸困難のような状態に陥り、どうにも耐えられなかったので、リタイアしようと最後方に下がって、手を上げたのだが気付いて貰えず、仕方ないので騙し騙し泳いでいたら、今度は左太腿と右足指先が攣り始め、俺はこのまま沈んで手賀沼のカッパになるのかもしれないなんて思いながら、生ける屍のような状態でなんとかスイムをクリア。もうやめたい。
 バイクではいきなりチェーンが外れるし全く足が回らず35−36kmを保つのが精一杯。ランの周回コースでも牛蒡抜きに抜かれ、初挑戦のときよりも、転倒で変速機を壊してしまいバイク序盤からシングルギアで走った石垣島よりも酷い過去最低のタイムでのフィニッシュ。情けなくて泣けてくる。
 この一年はバイクしかやっていないのに、ショートなんて何とでもなるなんて思って参加した慢心が、このような結果を招いたわけで、冷静に考えれば当然の報いのような気もするが、やはり悔しい。
 ボロボロになって打ちひしがれて自転車を引っ張っていたら、一時期よく遊んだ中学時代の後輩にバッタリと出くわす。20年以上顔を見ていなかったのだが相変わらずの洒落モンで直ぐに分かった。お互いに若い頃は汗臭さとは無縁の不健康な生活をしていたのが、後輩もトレイルランに熱中しハセツネ出場をめざしているとの事。2年後をめどにトライアスロンにも挑戦したいとの話で、こいつとは、またもや深い付き合いになりそうだ。