ロールスロイス

 こんな話を聞いたことがある。
 ロールスロイスのオーナーが車で家族旅行に出かけたら、シャフトが折れたか何かで旅の途中で車が動かなくなってしまった。途方にくれてディーラーに連絡したら、なんとヘリコプターで迎えに来てくれて、自動車も彼らが持ち帰り、まるで新車のように、きちんと修理して納車してくれたのだという。いつまでたっても費用の請求がないのでオーナーがディーラーにメールで問い合わせたところ、帰ってきた答えは”ロールスロイスは販売開始以来一度も故障したことがありません”


 僕はマドンは走りが好きで、そのオーナーであることを誇りに思っているのだが、ジロにオーバーホールをお願いしてバイクを預けていたら、フレームにクラックが入っているという連絡があった。メーカーにクレームしてくれるとのことだが、カタログで確認した保証規定はかなり厳しく、トレックが欠陥と認めたフレームに限定されると記された後に、細かくツラツラと条件が並べられている。
 かなりハードルが高そうだし、仮に認定を受けたとしても相当時間を取られるのだろうな。来春は娘の受験だから、自転車に現を抜かすのはやめろっていうお告げなのかな・・・なんてことを考えていた。
 しかし、1週間もたたずして田野さんから、クレームが認められ新しいフレームを用意してくれることになった、という天に上りたくなるような嬉しい連絡があった。今年の5シリーズからマドンオーナーの誇りであるOCLVの文字がなくなっているのが残念だが、それは贅沢ってものだろう。

 このストーリーから導き出される回答は、”信頼できるバイクを、しっかりしたショップで購入し、定期的にオーバーホールしよう!”というある意味当たり前のことであるが、これは海外通販に対する一つのアンチテーゼになるのかもしれない。
 僅かな小遣いで遣り繰りするために海外通販は捨てられないが、ポチっとやる前に、この商品はどちらで買うべきか立ち止まって考える作業が必要だ。