ウォールストリート

 ニューヨークにはやっぱりデヴィット・バーンが似合うよな。
 久しぶりに彼の声が聴けたというだけで幸せな気分になってしまったのだが、この映画について音楽から切り込むのは失礼だ。
 ベテラン俳優の凄味と圧力感を持った演技が映画に重厚感を持たせているのだろう。マイケルダグラスはもちろん悪役を演じるジョシュブローリンも存在感たっぷりだ。さらに老優たちの演技も渋く光っていて、隅々にまで緊張感が漂ういい作品だと思う。
 主人公の優等生的雰囲気にはちょっと違和感があり、欲望と野心でギラギラした部分が強く出てきて当たり前だと思うのだが、作品としてバランスが取れなくなるのだろうか。ただ、脇を支える名優の中に埋没せず、思いのほか力強くストーリーを動かしていることは間違いない。
 ストーリー的には若干薄いような気もするが、独特の存在感を感じるレベルの高いところで好きな作品である。

 先週末に娘と見に行ったREDは、僕のようなおじさんに元気をくれる、単純に楽しく痛快な映画だった。ジョンマルコビッチとヘレンミレンの怪演が何とも印象的で、(例の不倫事以来みかたが変わった)モーガンフリードマンもちょい悪風で楽しかった。体の衰えとともに、最近では老眼も進みますます老いが隠せなくなってきている今日この頃だが、気持ちだけは若く、そして生臭く行こう!なんて感じで颯爽と席を立つことができたし、娘も喜んでいたのでこの映画を見るのは正解だった。