練習計画を具体的考える

 さて、例のパワーメーター本は300ページ以上ある大作だが、FTP値で現時点でのパフォーマンスを確認し練習強度の基準を決め、更にパワープロファイルで自分の強みと弱点を明らかにする作業を説明したあとは、パワーメータから弾き出されたデータを詳細に解析する説明が延々と続くが、TSB(Training Stress Balance)を使っての練習強度のコントロールなどは面白いと思う。
 腰の高い美しい走りに憧れた弘山晴美のランニング本には”自分の感覚を信じて”毎日の練習負荷を決めていこうと書いてあって、アナログ人間である僕はこちらの意見に傾くのだが、データが好きな人には心拍管理よりさらに緻密な分析が可能なパワーメーターは魅力的な存在だと思う。
 しかし、僕が思うパワーメータの一番の魅力は、自転車乗りにとって最も意味のある”ワット”という数字が、実走時でのモチベーションの維持に強大な力を発揮することだと思う。向かい風や坂道でスピードが落ちてきて一定以上に辛くなると一気に緊張の糸が切れてしまうのだが、このような場面でメータを見ながら出力維持だけを考えて走ればどんなに救われることだろう。


 この本の後半にさしかかってようやく、導き出さられたパワーデータをベースにした具体的な練習計画の話がでてくる。
 まず最初に登場するのはボブさん。彼は地元のクラブチームで練習する登りが得意だと思っている42歳のおじさんで、今年はレースに出てバリバリ走ってやるぞ!を気合を入れて、毎週8-10時間程度は自転車に乗り、最近ではレーシーな集団練習も始めた。彼の体重は70.5kgで最新のFTPは250!したがってパワーウェイトレシオは3.55となる。(このFTP値は僕がオフに計った数字より高い!)パワープロファイルでみると、彼はやはりクライマータイプで、絶対的なパワーが不足しているためにTTやスプリントが苦手と出た。(僕たちオッサンライダーの典型ですね)そこでまずは60-90分間出力を維持するための持久力をつけることに主眼を置き、週末に自転車に乗りこむこととFTPより少し下のスイートスポットでの練習に多くの時間を割くようにした。さらに、パワーアップのためにビックギアを使ってのFTP値近辺でのトレーニング(10分〜30分)をふんだんに取り込むようにして16週の練習プログラムが作られた。


 この話から僕たちは練習計画の立て方を学ぶことが出来る。おおざっぱに言って①持久力アップ②FTP(LT、AT)周辺でのパフォーマンスの向上③MAXパワーの向上という三つのテーマを作り、
a.週末のロングライドで持久力アップを狙う
b.週中はFTP値周辺でのトレーニング(テンポ〜FTP)
 *弱点補強のためビックギア錬や片足ペダリングなども取り込む
c.ベースが出来上がってきたらロングライドの強度をアップ(レーシーな練習にも挑戦)
  また、週中のトレーニングにもインターバルを加えてマックスパワーを上げる
ということになるだろう。僕の場合は週中の練習の取り組みがポイントになるだろう。
 市民レーサーの頂点で頑張る高岡さんのブログを読んでいると、外資系でメチャストレスフルな(はずの)会社に勤めているなのに、ほぼ毎日ローラーでメディオ走(最大心拍の78−82%なのでFTPとほぼ同義)を行っている。
 練習の継続が大切だっていことはみんな頭では理解していると思うが、彼のブログを読んでいると、当たり前のことを続けることの凄味が伝わってくる。マネできない・・・けど見習わなければ。