12.9上原ひろみat国際フォーラム

今日の上原ひろみはオープニングからテンションが違う。ただでさえ激しいムーブを鮮烈に、何者かに取り憑かれたかのように、激しく鋭く演じて行く。エンデーヴァーでも音の密度は変わらず、こんなペースで飛ばして身体が持つのだろうか?とこっち不安になってしまうくらい、気持ちが入った演奏が続く。


「リハーサルの時に二階席の一番後ろに立って、こんなに沢山のお客さんに入って貰えるんだなって感動しました。一番後ろの席のひとまで、しっかりエネルギーが届くように、演奏しています。」
マイクでこんな風に話していたけど、今日のライブには色んな思いが詰まっているのだろうな。彼女のライブは三回目なんだけど、今回は圧巻の出来栄えで、言葉もない。


タッチの鋭さと明晰さ。抜群のリズム感と、豊かなイマジネーションから紡ぎ出される美しいメロディ。ジャズとかロックとかって範疇では語りきれない自由で奔放な音楽観。もちろん、言うまでもなくサイモンのドラムは凄い。今日はアンソニーも目一杯頑張っている。

僕はかれこれ30年以上、ジャズやロックを聴いているけど、それは、今日、この場で、上原ひろみを聞く為だったんじゃないかって、そんな事を思ってしまう。


彼女がお世話になった調律師の為に演じたプレイス トゥ ビィも素晴らしかったし、スイートエピィカティズムが終わった瞬間には、あっ、これが本当のスタンディングオベーションなんだって思わされた。全ての観衆が総立ちになり拍手を続け、上原ひろみがガッツポーズで応える、会場が興奮に満たされ一体になった瞬間。

アンコールの1149PMも圧巻で、幕から姿を消した時に僕たちみんなが思ったのは、ダブルアンコールはいらないから、もう一度姿を見せて欲しいって、それだけ。全てを使い尽くした熱演だったから、神が降りてきたというより、このまま神に召されてしまうのではないかって思うような、凄まじく素晴らしい演奏だったから。そして改めて思った、僕は今日の為に、音楽を聴いてきたんじゃないかって。