サタディ・ナイト・フィーバー

 軽薄なディスコのイメージと重なるためか、良く言われることが少ないけど、僕は一流の青春映画だと思う。
 まず、ビージーズのステインアライブに乗って、厚底ブーツを履いたトラボルタが颯爽と街を歩く姿と、それをとらえるカメラワークからして格好いい。
 トラボルタが演じているのは、アホなディスコキングなんかじゃなくて、より下層な人間に対する差別や暴力、あるいは動物的衝動によるセックスをストレスのはけ口とするようなクソみたいな毎日と、時給4ドルのペンキ屋の店員として何十年も生き続けるのだろうか・・という閉塞感から逃れようとモガき悩み苦しむ青年で、彼の仕草や表情から、持ち合わせた優しさと寂しさ、虚しさといったものが滲み出ているのだな。
 「愛はきらめきの中に」が流れるラストシーンも好きだ。過ちを素直に認める素直な心と、負けを負けと認める謙虚さ、明日と向かいあう意思に、心が洗われるような気がするのである。