ジャンゴ・アルゴ・フライト

僕はいわゆる黄金時代の西部劇を知らないし、僕のアンテナには引っかかってこないので、イーストウッドの「許されざる者」が西部劇のスタンダードになっている。男の魅力が詰まった名作で、これ以上の作品ってそうはないよね。

強く印象に残っているのは、クリスチャンベイルの真に迫る演技とラッセルクロウの男の色気がぶつかり合った、ベイルがラストで父親としての誇りと威厳を示した「3:15atユマ」とコーエン兄弟が正面から西部劇に取り組んだ「トゥルーグリッド」凛とした子役の目力の強さが忘れられないな。

タランティーノの「ジャンゴ」もこれらと並ぶ名作で、デカプリオの演技が素晴らしい。番宣で使われている、振り向いてニヤってシーンは映画史で語り継がれるのではないか。
でも、何で彼はオスカーに手が届かないのだろう?演技がうますぎて、セリフも流暢にすぎると、浮世離れしちゃって、リアリティ失うからかな。
タランティーノは拷問や血を見て喜ぶような悪趣味な部分があって、そこだけはついていけないけど、ラストの胸空く爽快感は最高。


「アルゴ」は封切時にパスしていたのでご恥ずかしいけど、おっとり刀で有楽町へ。国家の尊厳が掛かった外交官救出にこんな破天荒な計画を考え、しかも、それを実行させるCIAの柔軟な頭には腰が抜ける。恐るべし。
題材は面白くても映画としてみせるとなると、なかなか、演出が難しいと思うのだが、硬軟織り交ぜたいいテンポの映画に仕上がっているのは、監督兼主役を務めているベン・アフレックのセンスのよさか。それと、ジョン・グッドマンがいい味出して映画にアクセントつけている。


「フライト」は主役がデンゼル・ワシントンじゃなければ、成り立たなかっただろうな。昔は、この映画の主人公みたいな人間は一種尊敬の対象になったけど、今ではコンプライアンス委員会に掛かって一発で懲罰の対象だもんな。
ただ、アル中かつジャンキーのパイロットって、いくらなんでも、あり得ないでしょう。豪快でも豪放でもなく、結構セコイし。なんて思いながらも最後まで、しっかり見てしまったのだから、繰り返すけど、デンゼル・ワシントン凄いなぁ。あっ、あと、この映画でもジョン・グッドマンがいいアクセントになっている。近々、ジョン・グッドマン祭りでもやろうかな。