アニーホール/マンハッタン

20代前半にアニーホールを観て、面白いとは全く思えず、僕にはセンスがないんだろうかと、落ち込んだことがある。悔しいから、ウッディアレンの映画は絶対観ないぞと誓って生きてきたのだが、ミッドナイト・イン・パリが余りに面白そうなので、フラリと劇場に足を伸ばしたら、これが正に僕好みの映画で、参ってしまった。


20年の月日を越えて、アニーホールを改めて鑑賞してみる。
そもそも、ウッデイアレン40歳の設定で、仕事に対する不満とか、病気=老いに対する不安とか、それでも恋愛を求める欲望とか、人種に関わる問題だとかを、自虐的なギャグを撒き散らしながら、神経質なテンポで進めて行くのだから、20代で共鳴する方がおかしい。
ダイアンキートンの奔放な魅力が際立つているけど、あのファッションとか、彼女だから許されるだろうな。


50を前に観たアニーホールは悪くなかったが、ウッディアレンの洒脱なセンスがもっと光っているのはマンハッタンだと思う。
モノクロで映すニューヨークの街並みが素晴らしい。無限につなぎ合わされた美しいフォトの中を人々が動いて行くような、マンハッタンと云う街が主役となっているような洒落た映像に、ジャズが優しく流れる。相変わらずアホくさいストーリーだけど、会話がより洗練されてきてるし、17歳の小娘に「あなたは、もう少し人を信用すべきよ」なんて云わせて、ストーリーの収束を図るのも面白い。


ハンナとその姉妹も同系列の映画で面白いと思うけど、僕はギター弾きの恋がとりわけ気に入っている。