アメリカンジゴロ

卑猥なオーラを撒き散らすデボラハリーを、中学生だった僕は怖いと思った。ブロンディはニューヨークパンクの一角と目されていたが、実際には、流行りに乗って行く風見鶏で、その点でも好きになれなかった。しかし、ジョルジオモロダーと組んで、究極的な売れ線を追求したアメリカンジゴロは別物で、コールミーは最高に格好いい曲だと思う。


リチャードギア主演の映画には興味なく、ここまで来たのだが、WOWOWの縁で、今頃になって見ることになった。しかし、これは何処かに欲求不満を溜めた、リチャードギアファンの為の映画で、僕のようなおじさんが見ても何も面白くないし、見ておきたい1000本には絶対に入らない。


そこで、お口直しにフリッツラングの「死刑執行人もまた死す」を見ることにする。フィルムノワールを代表する監督として、かつてゴダールが絶賛していたので、ずっと見たいと思っていたのだが、これが初めて。反ナチスプロパガンダ映画だが、シャレの効いた演出を存分に楽しむことが出来た。この系譜の映画を少し追いかけて見たいと思った。